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1.是正勧告による残業代のリスク

 労働基準監督署からの調査で、未払い残業代に対するチェックが厳しくなっています。

 労働基準法では法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えて労働させた場合には割増賃金を支払わなければならないとしていますが、この規定に反して割増賃金を支払わなかったり、割増賃金の一部をカットしていたりすると、会社は是正勧告を受けることとなります。

 是正勧告の内容は当然に未払い分を支払えというものになります。

 原則として、会社は
過去2年分までさかのぼって残業代を支払わなければなりません

 是正勧告となると、
全従業員の未払いについて対応しなければならないことも多くあります。

 そうなると、一回の是正勧告で、
数千万円~数億円の支払いが必要となることもあり、ケースによっては、倒産においやるほどのダメージを受けることがあります。

 弊所では、このような状況を打破していただくために、様々な面からサポートさせていただいております。

 お困りの際には、お気軽に弊所宛てご相談ください。








2.是正勧告も怖くない! ~事前にできる・やるべき対策法~

 ここ数年、過労死(過労が原因の自殺も含む)のトラブルが増加しています。

 この過労死の問題は、労働基準監督署による労災認定では終わらず、実態としては、企業に対する損害賠償請求訴訟も避けられない状況にあり、事故を起こした企業に対する社会的責任やそれを監督する立場にある行政の責任問題等、大きな社会的問題へと発展しています。
 
 過労死は、サービス残業が長時間労働の温床となって、引き起こされているとの指摘があります。

 この過労死の問題をなんとかしなければならないという、社会的事情・要請等に端を発し、労働基準監督署は、重点的にサービス残業の取り締まりを強化している状況にあります。

 つまり、比較的是正勧告といった指導を受ける確率が高まっています。

 先にも述べましたが、この是正勧告によるリスクは非常に高く、場合によっては、企業を倒産まで追い込む可能性も否定できません。

 そうなる前に、事前に準備をする必要があります。

 まずは、以下の3つの対策を講じてください。



①正確な労働時間・割増賃金管理体制を構築する
 労働時間を正確に把握できていない状態で是正勧告について対策を講じることは不可能です。=残業代対策もできません。

 すべての始まりは、正確にかつ適正な労働時間を把握することからです。

 一見簡単そうに思えますが、意外にも我々がご相談を受ける多くの企業でうまく機能していないのが実態です。

 システムの構築が済んでいる場合には、管理体制が労基法をはじめとする労働関係諸法令に照らし合わせ適正なものかどうかチェックをお願い致します。

 所定労働時間・法定外労働時間の管理や、割増賃金の計算等、これも完璧にできている企業は多くありません。

 ご不明な点は、お気軽に専門の弊所宛てご相談下さい。
 それぞれの状態に沿ったオリジナルの制度構築をお手伝いさせていただきます。








②労働条件の見直し・各種制度の利用
 まずは、すべての労働者との労働条件を確認して下さい。

 ここで、労基法上違反する部分があると修正する必要がありますが、過去にもさかのぼって対策を講じる必要がある場合等、煩雑な手続きが必要となるようなケースも珍しくありません。

 面倒だからと言って放っておいたとしても、先延ばし以外の何物でもなく、いずれ是正勧告があった際には、それに従わざるを得なくなります。

 労働基準監督官は個別の相談には乗ってくれません。

 したがって、是正勧告がない今の段階で、しっかりとした対策を講じることが最善です。

 また、労基法上の各種制度はうまく利用できれば大きな効果をもたらしますので、ぜひ前向きに取り組んでください。

 各種制度の採用の際には、労働基準監督署への届出や労働者との打ち合わせが必要となるものもあります。


 お手続きの詳細等に関しましては、いつでもお気軽にご相談いただければ幸いです。




③労働者の健康や安全への配慮・対策
 事業所の調査や是正勧告の目的は、労働者の健康や安全を確保することです。

 したがってこの部分についてしっかりと対策を講じていただくことは、調査や是正勧告の対策において大きな威力を発揮しますし、遠回りに見えますが、合理的な対策であるといえます。

 厚生労働省の通達や関連法令に基づき、健康と安全の増進に資するような体制づくりをサポートさせていただきます。

 お気軽にご相談ください。






3.残業代についての是正勧告対処法

 すでに残業代等について是正勧告を受けてしまった場合にはどうすれば良いのでしょうか。
 以下は、比較的多くご質問を頂戴する内容とその回答となります。


 
Q.残業代を2年間遡って支払うよう指導されたが、従わなければならないか?
 
 A.法的には支払う必要があります。ただし支払う金額については十分に検討すべきです。
   監督機関の基本的な役割は、罰則の適用を背景として、現に確認し得た法違反について
   これを将来に向かって是正させ、かつ、再び法違反を生じせしめないように監督指導す
   ることにあります。
   これを前提に、既に発生した法違反に係る労働者の不払いの賃金等の金銭債権の確保に
   ついては、本来、監督機関の権限に属する事項ではなく、労使間の自発的な協議等民事
   的な手段により解決されるべきものでもあるといった点に留意する必要があります。


 Q.労働基準監督官からの指導に従わないと送検されるのか?

 A.是正勧告は行政指導です。

   行政手続法に記載もありますが、原則として、この行政指導
に従わないことを理由に送
   検されることはありません。
   例えば『2年間さかのぼり残業代を支払いなさい。』といった是正勧告に従わなかった
   としても、それを根拠に不利益な取   り扱いをすることはできません。
   あくまでも、支払額について決定できるのは、労使間の協議や裁判所の判決等であり監
   督官の権限ではありません。

   但し、未払い賃金が労働基準法違反となれば、同法に罰則規定がありますので、これを
   根拠に送検に至る可能性も十分ありますので注意が必要です。


 次に是正勧告の内容のチェックを行ってください。


 
1.特定の従業員について、労働日数や労働時間、支払い金額等が記載されている。
 
 2.3ヶ月以内、3ヶ月超6ヶ月以内、6ヶ月超2年以内等、残業代をさかのぼって支払う
   期間の指定がある。
 
 3.さかのぼる期間について特に記載はない。補足的に、消滅時効は2年であることに留意
   することという記載はある。


 1の場合には、送検の可能性も十分にありますので、適切に対応することが必要です。

 一般的には、多くの労働者の氏名や労働日数、労働時間等を把握し、かつ、それを特定することは非常に困難ですので、現段階ではある従業員についての限定的な勧告になる可能性が高いといえるでしょう。

 
2は、さかのぼる期間が3ヶ月以内であれば、慣行から検討しても素直に応じるべきだとの判断ができます。

 また、さかのぼる期間が6ヶ月以内のものについても、個別具体的な検討は必要ですが、ダメージが短期間に回復できるような額であれば素直に是正するべきでしょう。

経営状況から判断し、さかのぼっての支払いが困難な場合や、さかのぼる期間が6ヶ月超えるような場合は、弊所宛て一度ご相談ください。

 3の場合においても、いつまでの分を支払えばいいのかといった疑問が生じるかと思います。監督官に確認したところで、労基法上の2年という時効期間についての回答しか得ることはできません。

 これまでの、豊富な経験に基づいた適切な対処法をご案内させていただきますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。







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