1.残業代対策 ~会社のため絶対に実施すること~
【フローチャート例】
1.賃金シュミレーション(賃金/給与規定改定のための試算)
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2.給与規定改定(例:固定残業代導入+就業規則等変更)
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3.社員説明会(給与改定等についての周知)
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4.個別同意(改定についての個別同意取得)
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5.個別対応策検討(事後ケア・トラブル防止)
残業代請求対策には、上記のような流れで、制度の見直しが必ず必要です。
これを社内で実施するとなると、管理監督者や経営者が中心となって行うこととなりますが、
従業員から見れば、経営者サイドの話であるとの認識が強く、個別同意を得ることが非常に難解とならざるを得ません。
また、残業代請求対策は早急に講じるべきですので、実際に請求がある前に完了しなければなりません。
これらのことからもお分かりいただけますように、
やはり、専門家にご依頼いただくのが最善の方法だと言えます。
制度の見直しの流れ、ご負担、費用、期間など、詳細について事前にご説明を差し上げております。
残業代請求対策は、専門の労使トラブル解決ナビまでお気軽にご相談ください。
2.残業代請求対策 ~有効な方法は他にもまだある!~
①変形労働時間制の正しい運用
1ヶ月単位・1年単位の変形労働時間制は、原則として、その期間内で法定労働時間を超えるか否かについて管理することとなります。
※原則として、1日や1週間について管理するのではなく、1ヶ月や1年を平均して法定労働時間を超える労働時間(=残業)があったかを管理する制度です。
したがって、特定の期間ついて繁閑の差があるような業種では、残業代対策としては有効です。
その他にも、フレックスタイム制や1週間単位での変形労働時間制など、うまく使えば大きな効果を得られるものがあります。
各制度の導入には、事前の調査が必要です。
詳細については、お気軽に弊所宛てご相談ください。
②みなし労働時間制の有効活用
大半を客先回りなどに費やす営業マン等労働時間を正確にカウントする事が困難な場合や、専門性が強く労働者が業務の進め方も含め判断を行う必要がある場合等、みなし労働時間制で予め決められた所定労働時間働いたと「みなす」事ができます。
うまく活用すれば、大幅な残業代の削減が可能です。
③年間総労働時間枠の把握
まずは、一体どれぐらいの時間働く必要があるのか?また、実際に一体どれくらいの時間働かせているのか?
これを把握せずに残業代対策を講じることは不可能でしょう。
反対に、これを把握することから残業代対策は始まりますので、大変重要です。
まずは、年間総労働時間枠の把握をお願い致します。
④定額残業代の導入
「定額残業制」とは、規定の時間分の残業代を給料に含ませるという制度です。
定額残業制を導入すると、規定の時間分の残業については割増賃金を支払わなくてもよくなります。この定額残業制に「出勤簿の自己申告制」を組み合わせると、大幅に残業代が削減できるようになります。
定額残業制を導入するにはいくつか注意点があります。
- 就業規則で定める
- 雇うときに雇用契約書に明記する
- 給与明細で基本給と固定残業手当とを分けて表示する
- 入社時に最初にきちんと説明をする
※定額残業制の導入は非常に有効な残業代請求対策ですが、就業規則で正しく定めることや給与明細への記載の仕方など、正しく行う必要があることが多く、また賃金の計算や管理が複雑になるため、専門家にご相談されることをお勧め致します。
⑤休憩時間の適切な管理
残業している時間の中に休憩時間を組み込み、その時間内で食事や休憩をしてもらうという方法です。就業規則に規定することで、残業1時間ごとに10分などといった具合に休憩時間分の残業代を減らすことができます。
⑥残業の届出や許可制の導入
残業に関して何のルールもなく、社員が仕事があれば残業をしているような状態では、残業は増えてしまいます。
そこで多くの会社が取り入れているのが「残業申告制」です。
残業をする際には申請書を提出するように就業規則で規定し、所属長の許可が下りたときだけ残業を認めるという制度です。申請書には以下のような内容を記入させ、所属長が申請書を確認してその残業が必要であると認めた時のみ残業をさせます。
- 残業をする必要がある理由
- 残業で行う業務の内容
- 残業する時間
このように残業を申告制にすることで、無駄な残業が増えることを防ぐことができます。
申告制のご採用には、原則として就業規則のチェックが欠かせません。
ご不明な点はお気軽にご相談下さい。
⑦管理監督者と管理職の使い分け
管理監督者に該当すれば、原則として割増賃金(深夜を除く)の支払いが不要となります。
名ばかり管理職とならないよう、管理監督者の要件を満たすような取り扱いを行う必要がありますが、適切な待遇・処遇を行う事で生産性も向上しますので、残業代請求対策+αの効果も期待できます。
⑧有給休暇の適正な取得と賢い付与
有給休暇は、時間単位の付与が可能となりました。
また、一定の要件を満たすことにより、これまで労基法上規定されていた割増率を超える残業代の支払いが必要となりましたが、これまでの基準を超える部分の支払い関して、有給休暇を付与することでその支払いに代えることが可能となりました。
うまく、有給休暇を付与することで、残業代を減らすことが可能です。
制度設計も含め、専門的な知識が必要となりますので、ご不明な点は専門の弊所宛てお気軽にご相談いただければ幸いです。
⑨代休や振り替え休日の適切な運用
振り替え休日では、休日の割増賃金は必要となりません。
しかし、代休となれば必要となります。
まずは、就業規則の整備・見直しを行い、適切に管理する制度を構築する必要があります。
振り替え休日・代休の要件や、管理方法についてはお気軽にお問い合わせください。
⑩限定社員や短時間労働者の有効活用
多様な雇用形態について柔軟な考えが必要とされ、また、政府も様々な働き方を推奨しサポートする政策を実施しております。
また、ワークライフバランスからのアプローチと致しましては、充実させることにより生産性を向上させるといったメリットもあります。
このように、パートさんには責任の仕事を任せられない・すぐ退職してしまう等の先入観での採用活動は改め、雇用形態にかかわらない優れた人財を適所に配置することにご尽力いただくことで、残業代のみならず、その他のコスト削減やトラブルの防止等多くのメリットをお受けいただくことが可能です。
しかしながら、簡単に採用等方向転換は難しいものかと思いますので、まずは一度賃金管理や採用についての専門家へのご相談だからお始めいただければと考えます。
弊所でも、随時ご相談を承っておりますので、いつでもお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。
以上のように、労基法には様々な規定が存在します。
これは、労働者を守るのためだけのものではなく、使用者にも上手く制度を活用し、健全な労務管理体制の構築を行ってもらえるよう配慮したものです。
それぞれ、メリットデメリットがあり、併用できるものやそうでないもの、各項目の詳細について把握し運用を行わなければ大きなリスクを伴うものなど様々です。
これらはすべて、上記【1.~会社のため絶対実施すること~】の【フローチャート2.】の欄に該当するものです。
各制度を有効に活用し、少しでもリスクを減らしていきましょう。
制度の詳細やご採用等についてご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。
3.対策の効果は?どれくらいで効果が出るの?
①残業代請求対策の効果は?
就業規則の変更等、きっちりと対策をしようとすれば当然費用は発生します。
将来的に制度の不備等による残業代請求のリスク回避はもちろんですが、請求しようとする労働者の動機に対して、『うちはきっちりとした会社だから、請求できる要件には当てはまらないな。』といったような形で、対策前の過去の残業代請求のリスクにも大きな効果があります。
会社の制度をしっかりと整備しておかなければ、労働基準監督署の是正勧告によって、全従業員に対して残業代を過去に遡って支払いをしなければならないという事態も想定されます。
このようなことからも、やはり一日も早い対策が必要だと言えます。
②残業代請求対策の効果はいつから?
未払い賃金は、過去2年分までさかのぼり請求が可能です。
ということは、対策後2年経過しないことには効果が発生しないようにも見えます。
しかし、実務上は大きく異なります。
上記①で述べた通り、しっかりとした対策を講じることにより様々な相乗効果を伴いますし、きっちりと整備された状態であれば、ケースとしてさかのぼる期間が3ヶ月程度で済んだものもありますので、対策後すぐに効果が生じると言えるでしょう。
但し、間接的に効果は生じますが、直接的に既に発生した残業代を支払わなくても済むための対策ではないという点にご留意が必要です。
いずれにせよ、有効な残業代対策を講じなければ会社を守ることはできません。
ご不明な点等、些細なことからでも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。
請求されてからでは、手遅れとなる可能性が非常に高くなります。
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